仕事用のパソコンやモニター、プリンターを買ったとき、「全額をその年の経費にできるのか」「何年かに分けるのか」は、購入金額と青色申告かどうかで決まります。さらに、プライベートと兼用している場合は「家事按分」で業務に使う割合だけを経費にします。
この記事では、国税庁のタックスアンサー(No.2100 減価償却のあらまし、No.2210 必要経費の知識:いずれも令和8年4月1日現在)をもとに、金額ごとの扱いと計算例をまとめました。令和8年度の改正で、青色申告者の少額減価償却資産の特例は30万円未満から40万円未満に拡大されています(令和8年4月1日以後の取得分)。
この記事の結論
- 10万円未満:その年に全額経費(消耗品費)
- 10万円以上20万円未満:一括償却資産として3年で均等に経費にできる
- 40万円未満(令和8年4月1日以後の取得):青色申告者は特例でその年に全額経費にできる(年間合計300万円まで)
- それ以上は耐用年数で減価償却(パソコンは4年)
- プライベートと兼用なら、業務に使う割合(家事按分)だけが経費
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金額別の扱い(判定フロー)
購入金額(判定は税込経理なら税込・税抜経理なら税抜)で判定
(令和8年4月1日以後の取得)
出典:国税庁 No.2100(令和8年4月1日現在)をもとにサクヨミ.comが作成
| 取得価額 | 白色申告 | 青色申告(一定の要件を満たす場合) |
|---|---|---|
| 10万円未満 | その年に全額経費 | その年に全額経費 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産:3年で1/3ずつ(または通常の減価償却) | 一括償却資産、または特例でその年に全額 |
| 20万円以上40万円未満 | 耐用年数で減価償却 | 特例でその年に全額経費(令和8年4月1日以後の取得。それ以前は30万円未満) |
| 40万円以上 | 耐用年数で減価償却 | 耐用年数で減価償却 |
金額は税込?税抜?
判定に使う金額は経理方式によります。税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額です。免税事業者は税込経理になるため、たとえば本体価格10万円(税込11万円)のパソコンは「10万円以上」として扱われます。
主な仕事道具の耐用年数
| 資産 | 耐用年数 |
|---|---|
| パソコン(サーバー用を除く) | 4年 |
| 複写機・その他の事務機器 | 5年 |
| 事務机・いす・キャビネット(主に金属製) | 15年 |
| 事務机・いす・キャビネット(その他) | 8年 |
※国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数(器具・備品)」より。
家事按分:プライベートと兼用している場合
国税庁は、家事と業務の両方にかかわる費用(家事関連費)のうち、必要経費にできるのは業務に直接必要だったことが明らかに区分できる部分だけとしています。つまり、使用割合を「なんとなく」決めるのではなく、説明できる根拠を残すことが大切です。
| 費用 | 按分の基準の例 | 根拠として残すもの |
|---|---|---|
| パソコン・スマホ | 業務に使う時間の割合 | 1週間の使用時間の記録、業務用ソフト・アカウントの利用状況 |
| 家賃 | 仕事に使う部屋の床面積の割合 | 間取り図と面積の計算メモ |
| 電気代 | 仕事部屋の使用時間・面積 | 計算の考え方をメモで残す |
| インターネット回線 | 業務に使う時間の割合 | 使用時間の記録 |
計算例:25万円のノートパソコンを購入(業務使用7割)
| 申告方法 | その年の経費 | 考え方 |
|---|---|---|
| 青色申告(特例を適用) | 175,000円 | 25万円×業務割合70%をその年に全額 |
| 白色申告(4年で定額法・1月に購入) | 43,750円/年(4年) | 25万円÷4年=62,500円×70% |
※定額法の償却率(耐用年数4年=0.250)で計算。年の途中で買った場合は、その年は月数で按分します。所得税・住民税の税率が合計20%なら、1年目の税負担の差はおよそ2.6万円((175,000−43,750)×20%)です。
青色申告にするには、事前に青色申告承認申請書を出す必要があります(弥生のかんたん開業届で無料作成)。青色申告の65万円控除の条件は「青色申告65万円控除の条件」で解説しています。
帳簿のつけ方
- 10万円未満:「消耗品費」で仕訳
- 一括償却資産・特例・減価償却:固定資産台帳に登録し、その年の経費を「減価償却費」で計上
- 家事按分:購入時に全額を記帳し、決算で業務分だけを経費にする(会計ソフトの家事按分機能を使うと楽)
- 領収書・納品書は保存(購入日・金額・品名がわかるもの)
固定資産台帳や減価償却の計算は手作業だと間違えやすいので、会計ソフトに任せるのが確実です。
固定資産台帳と減価償却を自動計算できる会計ソフト
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家賃・電気代・スマホ・車など、ほかの費用の按分基準は「個人事業主の家事按分とは?」、開業前に買った準備費用の扱いは「開業費とは?」で解説しています。
よくある質問
Q. 開業前に買ったパソコンも経費になりますか?
開業準備のために買ったものは、開業後に事業で使っていれば、減価償却資産として扱ったり、開業費として扱ったりできる場合があります。購入時の領収書を保存しておきましょう。
Q. 中古のパソコンの耐用年数は?
中古資産は、残りの使用可能期間を見積もるか、簡便法で計算した年数を使えます。詳しくは国税庁の中古資産の耐用年数の案内を確認してください。
Q. 少額減価償却資産の特例は誰でも使えますか?
一定の要件を満たす青色申告者が対象です。白色申告では使えません。適用できる期間は令和11年3月31日までに取得したものです(国税庁 No.2100)。
まとめ
仕事用の機器は、10万円未満なら全額その年の経費、20万円未満なら3年で均等に、40万円未満(令和8年4月1日以後の取得)なら青色申告の特例でその年に全額経費にできます。兼用しているものは業務の割合だけを経費にし、按分の根拠を残しておきましょう。


