個人事業主から法人成りするとき、最初に気になるのが「会社をつくるのに、結局いくらかかるのか」です。会社設立の費用は、株式会社か合同会社か、定款を紙で作るか電子で作るか、資本金をいくらにするかで大きく変わります。
この記事では、国税庁(登録免許税)と日本公証人連合会(定款認証手数料)の一次情報をもとに、2026年時点の法定費用を内訳から計算しました。一人で会社をつくる場合の最安パターンと、自分で手続きするときの流れもまとめています。
この記事の結論
- 一人で設立する小さな株式会社なら、法定費用は約17万円〜(登録免許税15万円+定款認証1.5万円+電子定款の作成費用)
- 合同会社なら約6.5万円〜(登録免許税6万円+電子定款の作成費用。定款認証は不要)
- 紙の定款は印紙代4万円がかかる。電子定款にすれば4万円が不要
- 2024年12月から、発起人が3人以下の個人などの条件を満たす小規模な株式会社は、定款認証手数料が1万5,000円に
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会社設立にかかる法定費用の内訳
株式会社
| 費用 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 資本金×0.7%(最低15万円) | 国税庁 No.7191 |
| 定款認証手数料 | 資本金100万円未満3万円/100万〜300万円未満4万円/それ以外5万円 ※小規模な会社の条件を満たせば1万5,000円 | 日本公証人連合会 |
| 定款の印紙代 | 紙の定款は4万円/電子定款は不要 | 印紙税 |
| 定款の謄本代など | 数千円程度 | 公証役場で確認 |
登録免許税は資本金の0.7%ですが、最低15万円です。資本金が約2,142万円以下なら15万円になります(資本金1,000万円でも計算上7万円なので15万円)。
定款認証手数料が1万5,000円になる条件(2024年12月〜)
- 発起人が全員個人で、3人以下
- 定款に、発起人が設立時に発行する株式をすべて引き受ける旨の記載がある
- 定款に、取締役会を置く旨の記載がない
一人社長の株式会社は、ほとんどの場合この条件に当てはまります。
合同会社
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 登録免許税 | 資本金×0.7%(最低6万円) |
| 定款認証 | 不要 |
| 定款の印紙代 | 紙の定款は4万円/電子定款は不要 |
パターン別の費用シミュレーション
| パターン | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 紙の定款で自分で手続き | 約21万円〜(15万+1.5万+印紙4万+謄本代) | 約10万円〜(6万+印紙4万) |
| 電子定款(弥生のかんたん会社設立を利用) | 約17万円〜(15万+1.5万+5,000円+謄本代) | 約6.5万円(6万+5,000円) |
| 専門家に依頼 | 法定費用+報酬(数万円〜) | 法定費用+報酬(数万円〜) |
※株式会社は資本金100万円未満で小規模な会社の条件を満たす場合。弥生のかんたん会社設立は、登録と書類作成が無料で、電子定款の作成依頼・オンライン申請に5,000円(弥生会計 Nextを年契約すると弥生が負担)がかかります(2026年10月時点の公式ページ)。
株式会社と合同会社、どちらにする?
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立の法定費用 | 約17万円〜 | 約6万円〜 |
| 定款認証 | 必要 | 不要 |
| 決算公告 | 必要 | 不要 |
| 役員の任期 | あり(最長10年) | なし |
| 対外的な印象 | 知名度が高い | 近年は増えているが、株式会社より知名度は低め |
| 向いている人 | 取引先の印象や将来の資金調達・採用を重視 | 費用を抑えて小さく始めたい |
取引先が大企業中心で信用を重視するなら株式会社、ひとりで費用を抑えて始めるなら合同会社を選ぶ人が多いです。合同会社は後から株式会社に変更することもできます(別途費用がかかります)。
自分で会社を設立する流れ
- 会社の基本事項を決める(商号、本店所在地、事業目的、資本金、役員、決算月)
- 会社の実印を作る
- 定款を作成する(電子定款なら印紙代不要)
- 株式会社は公証役場で定款の認証を受ける
- 資本金を払い込む(発起人個人の口座へ)
- 法務局に設立登記を申請する(申請日が会社の設立日)
- 税務署・都道府県・市区町村に法人設立届出書などを出す。役員報酬を払うなら年金事務所で社会保険の手続きも
本店所在地に自宅を使いたくない場合は、法人登記ができるバーチャルオフィスも選択肢です(バーチャルオフィスの選び方)。
設立後にかかるお金も確認
- 法人住民税の均等割(赤字でも原則として毎年かかる)
- 社会保険料(役員報酬を払う場合、会社と本人で負担)
- 税理士への報酬(法人の決算・申告を依頼する場合)
- 会計ソフトの利用料
法人の決算や申告に不安がある場合は、設立前から税理士に相談しておくと、役員報酬や決算月の決め方で損をしにくくなります。弥生の税理士紹介サービスでは、条件に合う税理士を無料で紹介してもらえます。 弥生の税理士紹介サービスを見る![]()
法人成りはいつがいい?判断の目安
会社をつくると、設立費用のほかに、赤字でもかかる法人住民税の均等割、社会保険料、税理士報酬などの固定費が増えます。一方で、所得が増えるほど法人の税率のほうが有利になりやすく、役員報酬で給与所得控除を使える、決算月を自由に決められる、といったメリットもあります。
| 判断ポイント | 個人事業のまま | 法人成りを検討 |
|---|---|---|
| 事業の所得 | 数百万円程度まで | 所得が大きくなり、所得税・住民税の負担が重くなってきた |
| 取引先の要望 | 個人でも取引できる | 法人でないと取引できない・信用面で求められる |
| 社会保険 | 国民健康保険・国民年金 | 役員報酬を払えば社会保険への加入が必要 |
| 消費税 | 基準期間の売上1,000万円以下なら原則免税 | 設立時の資本金などにより、設立後の課税の扱いが変わる |
| 事務負担 | 確定申告のみ | 決算・法人税申告・会計処理が増える(税理士に依頼することが多い) |
どの所得水準で法人のほうが有利になるかは、家族構成・役員報酬の決め方・社会保険料によって変わります。設立前に税理士へ試算を依頼するのが確実です。
設立前に決めておくこと
| 項目 | 決め方のポイント |
|---|---|
| 商号(会社名) | 同じ住所に同じ商号は登記できない。「株式会社」「合同会社」の位置も決める |
| 本店所在地 | 自宅・賃貸事務所・バーチャルオフィス。賃貸の自宅は契約で事業利用が禁止されていないか確認 |
| 事業目的 | 今後の事業も含めて記載。許認可が必要な事業は表現に注意 |
| 資本金 | 設立後の運転資金や信用を考えて決める。1,000万円以上だと設立当初から消費税の課税事業者になる点に注意 |
| 決算月 | 繁忙期や資金の多い時期を避けると決算作業が楽 |
| 役員 | 一人社長なら本人のみ。任期(株式会社は最長10年)も決める |
本店所在地にバーチャルオフィスを使う場合の注意点は「バーチャルオフィスの選び方」、法人口座の作り方は「ラクスルバンクの評判」も参考にしてください。
法人化・会社設立を迷ったら、税理士に無料で相談
個人のままがよいか、いつ法人にするか、役員報酬や決算月をどう決めるかは、所得・家族構成・社会保険で答えが変わります。設立前に一度試算してもらうと、損をしにくくなります。
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相談の条件・対応地域は公式サイトで確認してください(2026年11月確認)。
よくある質問
Q. 資本金1円でも会社はつくれますか?
法律上は可能ですが、登録免許税(株式会社15万円・合同会社6万円)などの設立費用は資本金とは別にかかります。また、資本金が少なすぎると取引や口座開設で不利になることもあります。
Q. 電子定款は自分で作れますか?
自分で作ることもできますが、電子署名の環境(マイナンバーカード、ICカードリーダー、専用ソフトなど)が必要です。弥生のかんたん会社設立のようなサービスを使うと、環境をそろえずに電子定款で手続きできます。
Q. 設立までどれくらいかかりますか?
弥生の案内では、株式会社は1〜3週間程度、合同会社は1〜2週間程度が目安とされています。
まとめ
会社設立の法定費用は、一人で設立する小規模な株式会社なら約17万円〜、合同会社なら約6.5万円〜です。電子定款にすれば印紙代4万円がかからず、2024年12月からは小規模な株式会社の定款認証手数料も1万5,000円に下がりました。費用だけでなく、設立後の税金・社会保険も含めて、株式会社か合同会社かを選びましょう。


