個人事業主が確定申告用の会計ソフトを選ぶとき、候補になるのはほとんどの場合「弥生(やよいの青色申告 オンライン)」「マネーフォワード クラウド確定申告」「freee会計」の3つです。
ただ、2026年は料金が大きく動いています。弥生は初年度無料のキャンペーン(2027年3月15日申込みまで)、マネーフォワードは2026年12月1日に料金改定があり、人気の「パーソナル」プランは年払いで15,360円→22,560円(税抜)に上がります。この記事では、各社の公式サイト(2026年10月時点)の料金で3年間の総額を計算し、どの人にどのソフトが合うかを整理しました。
【結論】迷ったらこう選ぶ
- 初めての確定申告・費用を抑えたい → やよいの青色申告 オンライン(セルフ/ベーシックが初年度無料。3年総額はセルフ23,600円)
- 銀行・カード・レシートの自動入力を重視 → マネーフォワード クラウド確定申告(パーソナルミニの年払い10,800円は改定後も据え置き)
- インボイス登録して消費税の申告もする → 消費税申告に対応したプランを選ぶ(マネーフォワードならパーソナル以上)
- 電話で操作を聞きたい → 弥生ベーシック(電話サポート付き)
🧮 令和8年分の所得税・年収の壁をすぐ確認:所得税・年収の壁 かんたん計算ツール(会社員・個人事業主対応)
そもそも会計ソフトは必要?青色申告65万円控除との関係
青色申告で最大の65万円控除を受けるには、複式簿記で記帳して貸借対照表・損益計算書を添付し、さらにe-Taxで申告する(または優良な電子帳簿を保存する)必要があります(国税庁 No.2072、令和8年4月1日現在)。紙で提出すると55万円、簡易な記帳だと10万円になります。
複式簿記を手作業でつけるのは大変なので、取引を入力するだけで帳簿と決算書を作り、e-Taxで送信まで進められる会計ソフトを使うのが一般的です。所得税率が10%の人なら、65万円控除と10万円控除の差(55万円)だけで所得税が5万5,000円ほど変わり(住民税も別に下がる)、ソフト代は十分に回収できます。
3社の料金比較(2026年10月時点)
やよいの青色申告 オンライン
| プラン | 初年度 | 2年目以降(年額・税抜) | サポート |
|---|---|---|---|
| セルフ | 無料 | 11,800円 | Web FAQ |
| ベーシック | 無料 | 22,800円 | 電話(契約期間中10回まで)・メール・チャット |
| トータル | 19,800円 | 39,600円 | 電話・メール・チャット、業務相談 |
初年度無料(トータルは半額)は2027年3月15日までの申込みが対象で、1事業者1回限りです。口座振替かクレジットカードの登録が必要で、次の年の更新前に解約することもできます。無料体験版(最大2か月)を使うと、その期間が過ぎた後は初年度無償キャンペーンを使えない点に注意してください。
マネーフォワード クラウド確定申告
| プラン | 年払い(税抜) | 月払い(税抜) | 主な違い |
|---|---|---|---|
| パーソナルミニ | 10,800円(改定後も同じ) | 1,280円→1,680円 | 消費税申告は不可。レシート撮影は月15件まで |
| パーソナル | 15,360円→22,560円 | 1,680円→2,880円 | 消費税申告(インボイス)対応、請求書作成 |
| パーソナルプラス | 35,760円→38,160円 | なし | 電話サポート(操作方法) |
矢印の右側は2026年12月1日以降の料金です。すでに契約している人は、12月1日以降の更新から新料金になります(例:11月中に年払いで契約すると、翌年の更新までは旧料金)。1か月の無料トライアルがあり、クレジットカードの登録は不要です。
freee会計(参考)
freee会計の個人事業主向けは、年払いでスターター月980円、スタンダード月1,980円などです(公式の料金ページの月額換算)。当サイトではfreeeの広告は扱っていませんが、比較のため3年総額の表には載せています。
3年間でいくらかかる?総額シミュレーション
会計ソフトは毎年使うものなので、1年目だけでなく3年間の合計で比べます(税抜、年払い、キャンペーン・改定を反映)。
| ソフト・プラン | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 3年間の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 弥生 セルフ | 0円 | 11,800円 | 11,800円 | 23,600円 |
| MF パーソナルミニ | 10,800円 | 10,800円 | 10,800円 | 32,400円 |
| freee スターター | 11,760円 | 11,760円 | 11,760円 | 35,280円 |
| 弥生 ベーシック | 0円 | 22,800円 | 22,800円 | 45,600円 |
| MF パーソナル(12月以降に契約) | 22,560円 | 22,560円 | 22,560円 | 67,680円 |
| freee スタンダード | 23,760円 | 23,760円 | 23,760円 | 71,280円 |
※freeeは公式の月額換算×12で計算。マネーフォワードのパーソナルを2026年11月中に年払いで契約した場合は、1年目が15,360円になり3年合計は60,480円です。料金は変わることがあるので、申込み前に公式サイトで確認してください。
3年間の総額では弥生のセルフが最も安く、サポート付きで比べても弥生ベーシックがマネーフォワードのパーソナルより2万円以上安くなります。一方、マネーフォワードのパーソナルミニは改定後も年10,800円のままなので、「消費税の申告が不要(免税事業者)で、自動入力を重視する人」には有力です。
個人事業主向け会計ソフト 公式サイト
あなたに合うのはどっち?選び方チャート
個人事業主の会計ソフト&申告方式 選び方チャート
はい → マネーフォワード クラウド確定申告:銀行・カード・請求書の自動連携に強い
出典:国税庁 No.2070「青色申告制度」・No.2072・No.2100、各社公式サイトをもとにサクヨミ.comが作成(「月30件」は選び方の目安)。出典(このページへのリンク)を明記すれば引用可。
取引が少なめ・初めての人
口座・カードが多い人
白色申告と青色申告、節税額はいくら違う?
会計ソフトの年額(1〜2万円程度)を払ってでも青色申告にする価値があるかを、控除前の事業所得別に計算しました。所得税(限界税率)と住民税(10%)の合計で、復興特別所得税や国民健康保険料への影響は含めていません。
| 控除前の事業所得 | 白色(控除なし)と比べた65万円控除の節税 | 10万円控除と比べた65万円控除の節税 |
|---|---|---|
| 300万円(所得税率10%) | 約13万円(65万円×20%) | 約11万円(55万円×20%) |
| 500万円(所得税率20%) | 約19.5万円(65万円×30%) | 約16.5万円(55万円×30%) |
| 800万円(所得税率23%) | 約21.5万円(65万円×33%) | 約18.2万円(55万円×33%) |
いずれも会計ソフトの年額を大きく上回ります。国民健康保険料も所得をもとに計算されるため、実際の負担差はさらに大きくなることがあります。
簿記の知識ゼロでも使える?
使えます。会計ソフトでは、銀行口座やクレジットカードを連携すると、明細が自動で取り込まれ、「この取引は通信費」といった勘定科目の候補が表示されます。利用者は候補を確認して登録するだけで、借方・貸方の複式簿記の帳簿がソフト側で作られます。
- 自動取り込み:連携した口座・カードの明細を定期的に取得
- 仕訳の候補:取引先名や過去の登録内容から勘定科目を提案(同じ取引は次回から自動で同じ科目に)
- レシート撮影:スマホで撮ると読み取って仕訳の候補を作る(マネーフォワードはプランごとに月の件数に上限あり)
- 決算・申告:帳簿から青色申告決算書と確定申告書を作り、e-Taxで送信
最初に「事業用の口座・カードを分ける」「開始残高を入れる」の2つをやっておけば、日々の作業は明細の確認が中心になります。
インボイス・電子帳簿保存法への対応
2024年1月からは、メールやネットで受け取った請求書・領収書などの電子取引データを、紙に印刷せずデータのまま保存することが必要です(電子帳簿保存法)。インボイス登録をしている人は、登録番号などを記載した請求書の発行と、消費税の申告も必要になります。
| 必要な対応 | 会計ソフトで確認したいポイント |
|---|---|
| インボイス対応の請求書を発行 | 請求書作成機能があるか(マネーフォワードはパーソナル以上) |
| 消費税の申告 | 消費税申告書を作れるプランか(マネーフォワードはパーソナル以上) |
| 電子取引データの保存 | 受け取ったPDFなどを検索できる形で保存できるか(ソフトの保存機能か、別のフォルダ管理か) |
| レシート・紙の領収書 | 紙のまま保存するか、スキャナ保存の要件を満たして電子化するか |
各ソフトの電子帳簿保存法への対応範囲は、プランや追加サービスによって異なります。申し込み前に各社の公式サイトで確認してください。インボイス登録の判断は「個人事業主はインボイス登録すべき?」で解説しています。
料金以外の選び方:5つのチェックポイント
1. 消費税の申告が必要か(インボイス登録しているか)
インボイス発行事業者として登録している人は、所得税だけでなく消費税の申告も必要です。マネーフォワードのパーソナルミニは消費税申告に対応していないため、パーソナル以上を選びます。弥生も申込み前に、選ぶプランで消費税申告書を作れるか確認しましょう。
2. 自動で取り込みたい口座・カードの数
銀行口座やクレジットカード、電子マネーの明細を自動で取り込めると、入力の手間が大きく減ります。使っている銀行やカードが連携先に入っているか、各社の連携サービス一覧で確認しましょう。
3. サポートの方法
初めての人は、操作がわからないときに電話で聞けるかが大事です。弥生はベーシック以上で電話サポート、マネーフォワードは電話サポートがパーソナルプラスのみです。
4. 請求書も一緒に作りたいか
取引先に請求書を出す人は、会計ソフトで請求書を作れると売上の入力が自動になります。マネーフォワードはパーソナル以上で請求書の作成に対応しています。
5. 無料期間で操作感を試せるか
マネーフォワードは1か月無料(自動で有料にならない)、弥生は無料体験版(最大2か月・申告機能は使えない)があります。弥生は体験版を使うと初年度無償キャンペーンが使えなくなるため、最初から初年度無料で申し込むほうがお得です。
タイプ別のおすすめ
| こんな人 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 副業・開業1年目で費用を抑えたい | 弥生 セルフ | 初年度無料、3年総額23,600円 |
| 初めてで電話で質問したい | 弥生 ベーシック | 初年度無料、電話サポート付き |
| 免税事業者で、自動入力を重視 | MF パーソナルミニ | 年10,800円で据え置き、口座・カード連携 |
| インボイス登録済み・請求書も作る | MF パーソナル | 消費税申告・請求書作成に対応 |
副業の確定申告の流れは「クラウドソーシングの源泉徴収と確定申告のやり方」、開業の手続きは「個人事業主の開業手続きチェックリスト」で解説しています。
開業届と青色申告承認申請書もまだなら
青色申告をするには、開業届に加えて「青色申告承認申請書」を税務署に出しておく必要があります。弥生の「開業届作成ツール」(弥生 起業・開業ナビ)を使うと、質問に答えるだけで開業届と青色申告承認申請書を無料で作れます。 無料で開業届を作る(弥生)![]()
会計ソフトで何ができる?確定申告までの流れ
会計ソフトの役割は、日々の取引を入力して帳簿をつけ、年に1回の決算書と確定申告書を作り、e-Taxで提出するところまでを一つの画面で済ませることです。手作業やExcelとの一番の違いは、入力した取引が自動で複式簿記の帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)になり、そのまま青色申告決算書に集計される点です。
| 工程 | 手作業・Excelの場合 | 会計ソフトの場合 |
|---|---|---|
| 日々の記帳 | 科目と借方・貸方を自分で判断して記入 | 銀行・カード明細の取り込みと仕訳の候補が自動で出る |
| 帳簿 | 仕訳帳と総勘定元帳を別々に作る | 入力すると自動で作成 |
| 決算 | 減価償却や家事按分を手計算 | 固定資産台帳と按分の設定で自動計算 |
| 申告書 | 決算書と申告書を手で転記 | 決算書・申告書を自動作成 |
| 提出 | 印刷して郵送・持参(65万円控除は不可) | e-Taxで送信(65万円控除の条件の一つ) |
クラウド型とインストール型の違い
この記事で比べた3社(弥生のオンライン版・マネーフォワード・freee)はいずれもクラウド型です。パソコンにソフトを入れるインストール型(例:弥生のデスクトップ版)もありますが、個人事業主にはクラウド型が向いていることが多いです。
| 項目 | クラウド型 | インストール型 |
|---|---|---|
| 使える端末 | パソコン・スマホ・タブレット(ブラウザ・アプリ) | インストールしたパソコン |
| 銀行・カード連携 | 自動で取り込める | 手動の取り込みが中心 |
| 法令改正への対応 | 自動でアップデート | 更新版の購入やアップデートが必要なことがある |
| 料金 | 年額(毎年支払い) | 買い切り+保守サポート料のことが多い |
| 向いている人 | スマホで経費を入力したい、口座が複数ある | ネットにつなぎたくない、1台のパソコンで完結 |
働き方別のおすすめプラン
ケース1:会社員の副業(年間売上100万円未満・免税事業者)
取引が少なく消費税の申告も不要なら、最も安いプランで十分です。弥生のセルフ(初年度無料)か、マネーフォワードのパーソナルミニ(年10,800円)が候補です。副業の所得が「事業所得」に当たらず「雑所得」になる場合は、そもそも青色申告ができない点にも注意してください。
ケース2:専業フリーランス(年間売上300〜900万円・免税事業者)
取引先が増え、口座やカードも複数になる段階です。口座・カード連携の使いやすさで選ぶとよいでしょう。初めての確定申告で電話サポートがほしいなら弥生のベーシック(初年度無料)、自動化を重視するならマネーフォワードです。
ケース3:インボイス登録済み(課税事業者)
消費税の申告が必要になるため、消費税申告に対応したプランを選びます。マネーフォワードはパーソナル以上、弥生は申し込み前に選ぶプランで消費税申告書が作れるかを確認してください。インボイス登録の判断は「個人事業主はインボイス登録すべき?」で解説しています。
乗り換え・導入のときの注意点
- 年の途中で乗り換えない:期首(1月1日)から同じソフトで記帳するのが基本。乗り換えは確定申告が終わった後がおすすめ
- 開始残高を入れる:事業用口座の残高、売掛金・買掛金、固定資産などを最初に登録する
- 口座とカードを事業用に分ける:プライベートの取引が混ざると、自動取り込みのメリットが小さくなる
- 無料期間の条件を確認:弥生は無料体験版を使うと初年度無償キャンペーンが使えなくなる
自宅の住所を開業届や請求書に載せたくない場合は、事業用の住所としてバーチャルオフィスを使う方法もあります(バーチャルオフィスの選び方)。また、入金が遅れて税金や経費の支払いが苦しいときの資金繰りの方法は「請求書の現金化(ペイトナー)の手取り計算」で解説しています。
🧮 自分の場合はいくら安くなる?青色申告と白色申告の節税額 比較ツールで、売上と経費を入れるだけで所得税+住民税の差がわかります。
個人事業主・一人社長が使える請求書買取(ファクタリング)7社 早見表
| サービス | 買取金額 | 手数料 | 入金まで | 向いている人 | 公式 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラボル 解説記事 | 1万円〜 | 一律10% | 審査後、最短30分(振込は24時間365日) | 個人事業主・フリーランス限定。法人宛の請求書のみ | 公式サイト |
| ペイトナー 解説記事 | 1万円〜 | 一律10% | 審査後、最短即日(審査は営業時間内) | 個人宛の請求書も可。独立直後でも申込可 | 公式サイト |
| FREENANCE 解説記事 | 公式サイトで確認 | 3〜10% | 最短5分〜即日 | 法人宛の請求書のみ。会員に「あんしん補償」 | 公式サイト |
| QuQuMo online 解説記事 | 上限なし | 1%〜 | 最短2時間 | まとまった金額向け。ノンリコース | 公式サイト |
| Easy factor | 公式サイトに記載なし | 2〜8% | 最短60分 | オンライン完結(Zoom面談)。個人事業主も可 | 公式サイト |
| 株式会社No.1 | 50万円〜3億円 | 2社間0.5〜15%/3社間0.5〜5% | 最短即日 | 建設業に強い。2社間・3社間両対応 | 公式サイト |
| FIKS 法人専用 | 上限・下限なし | 2%〜 | 最短即日 | 法人のみ(個人事業主は不可)。2社間・3社間。オンライン完結 | 公式サイト |
各社公式サイトの記載(2026年11月確認)。手数料・入金時間は審査内容と書類の提出状況で変わります。利用は手取りの減少を理解したうえで、今月の支払いのつなぎなど短期に限るのが安全です。
🧮 自分の売上ではいくら?インボイスの納税額シミュレーターで2割特例・3割特例・簡易課税・本則課税を比べられます。
よくある質問
Q. 無料の会計ソフトだけで青色申告できますか?
無料プランは機能や仕訳数が限られることが多く、65万円控除に必要な決算書の作成やe-Taxに対応しているかを確認する必要があります。弥生の初年度無料なら、1年目はセルフ・ベーシックの全機能を無料で使えます。
Q. 途中でソフトを変えられますか?
変えられますが、年の途中で変えると帳簿の移し替えが手間です。乗り換えるなら、確定申告が終わった後の年初がおすすめです。
Q. 白色申告でも会計ソフトは必要ですか?
白色申告でも帳簿付けと保存が必要です。弥生には白色申告向けのソフトもありますが、65万円控除を受けられる青色申告にするほうが税金面では有利です。
パソコンや周辺機器を買ったときの経費の扱い(10万円・20万円・40万円のルールと家事按分)は「個人事業主のパソコンはどこまで経費になる?」で解説しています。
まとめ
2026年の会計ソフト選びは、「弥生の初年度無料」と「マネーフォワードの12月料金改定」で、3年間の総額が大きく変わります。費用を抑えたい人・初めての人は弥生、自動入力を重視する免税事業者はマネーフォワードのパーソナルミニが選びやすい選択肢です。インボイス登録している人は、消費税申告に対応したプランを選びましょう。
個人事業主向け会計ソフト 公式サイト


